風穴貯蔵は「ひやおろし」とは別物なんです。

現在・・・

県内「11店舗」で構成している「大信州・目聞熟」なる「勉強会・交流会」そして「八重原 純米大吟醸」を「仲間でタンク一本売る」PB仲間があります。

 

今期で7期目となる八重原シリーズの風穴貯蔵の為に、先日 松本まで行ってきました。

この時期には珍しい「サクラ満開の雪景色」の中を・・。

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長野県の「ひやおろし」は「信州ルール」の名の下、決まり事があります。
・新米新酒
・火入れ一回のみ

・一夏経過
・この酒を「9月9日」に解禁販売する。

特徴的なのが この「解禁日制」です。

私個人の意見としては、「残暑厳しいのが当たり前な例年の気候」を考えれば ???

なのが正直なトコ。しかも「短期間販売で無いと売れ残り」扱いされてしまう考えの方が業界内にも多く、

本来的な「火入れ酒の呑み時開始」からすると ???   です。

 

まっ、決まってしまったルールに文句を言っても仕方が無いので「その中で解決するしか無い」訳です。

 

その為の熟成をより深める為の「風穴貯蔵」なんです。

実は当初「私の解釈」としては「冷蔵庫で寝かせるよりも電気代が浮く」省エネが目的だと思っていました。真夏でも「ほぼ冷蔵庫と同じ温度帯」でしたから。

 

ところが最初の「風穴ひやおろし」で上がって来た酒が「他のひやおろし」とは 明らかに違うんです。

理由は・・・翌年に「風穴現場」を見学して「確信しました」(松坂みたいですが・・)。

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その場所は・・・

松本市の上高地に向う梓川水系・稲刻(いねこき)地区に点在する天然の冷蔵庫が風穴。

電機冷蔵庫が誕生するまでは「養蚕・発芽」等を温度調整して需給バランスが崩れた状況で出荷。

高利を「この里にもらたす」大切な場所であった様です。
真夏の下界が 30℃を越える日であっても「内部は 8℃」に保たれ、湿った冷気が石垣の間から絶え間なく

供給されます。たぶん、溶岩窟の間に雪解け水が入り込み それが対流されて吹き出す「山の呼吸」が

この地区に集中しているのだと考えられています。
「真冬の乾いた冷気」では無く「霜の降り始めた新鮮な湿った空気」に近く「山の霊気を感ずる」、神秘的な仕上がりになっています。電機で「3℃に管理された冷蔵庫熟成」では絶対に出せない味わい。
八重原の最高の環境を最高に引き出す「八重原米研究会」の三人衆が育てた「ひとごこち」が酒になり「この場所」で「山の恵を吸収」する事で 他には無い「旨味を纏った酒」に生まれ変わった事だけは間違い無いです。
あまり・・
こういう理由付けを する事が好きな当店では無いのですが「そうとしか思えない・・」感覚を 今回、初めてしたためてみました。
信じるか否かは「飲んだアナタ次第」ですが・・。

 

今での体験値から・・

今回、初めて「風穴に貯蔵する作業」に出掛けました。

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ほぼ「仲間が参加しての作業」は短時間で終了しました。
この日の風穴温度は 2℃。

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今期は「仕込32・34号」のブレンド対応です。
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「風穴ひやおろし」という表記で「商品化」されて、9月9日に お客様には「解禁日」で お目見えする事になります。

今期の酒は「軽い・複雑な旨味と余韻にキレ・食べたくなる酒」が私の感想です。

 

それが「風穴貯蔵で登場する」。期待しています。

 

そして、風穴ひやおろしとは本質的には別物なのだと思っている私です。