本当に「入手困難な時代」がやってきた

「あくまで「泣き言や愚痴」のたぐいでは無く「今、まさにそういう時代」なんだ。

と、言う事で お聞き下さい。

 

ウチの業界、いわゆる「地酒専門店」とは創業時から「専門店化」しているケースは稀です。

要は「規制緩和の下、ディスカウント全盛になり業績悪化を打破し 克つ酒屋としてのプライドを維持する手法」として選択せざる得ない・・が、たぶんほとんどだと思います。

コンビニ・飲食店などに転換できたところはカタチとしては残っていますが アトは廃業か、あるいは他業種転換

できれば良し・・です。

 

ちなみに当店の場合は「本業があって」規制緩和時に新規参入させて頂いたものの「すぐにディスカウントの波」に晒される結果となりました。まあー、他県あるいは全国的な動向を見ていれば「田舎も早かれ遅かれ・・」の予想通りでしたけど・・。

ですから「ディスカウントさん」を敵視するのでは無く「友好的な関係」を築いて「ウチの有意義な仕入れ業者」として お付き合いをさせて頂きました。正規の問屋通しの「仕入れ価格より かなり安く」です。

現在では、「友好的な関係」を築いていた方々は すべて廃業されましたが・・。

 

地酒屋で修行し「そのノウハウを持って独立」する方以外、そのまま「地酒の道」に進む事は無いのが現実です。

なぜなら「正規流通・問屋任せ・・だけでやってきた酒屋さん」の流儀と、「地酒業界の流儀」は全く違う。

ハッキリ言うと真逆な訳です。この説明は「機会があったら・・」として・・。

 

脚色でも無く「酒屋一代目」である事は「解らない事だらけ」ですから「知らない事を教えてもらうに頭を下げる」は当たり前ですし苦にもなりません。それで解るのでしたら感謝ですから・・。

 

本格的に「地酒の業界に舵を切る」決断の前提として「もし三年間やって誰も相手にしてくれないなら 相手にしてくれなかった業界に打って出よう・・」と本気で思ってました。たぶん「目が血走ってたんじゃないか・・」と、思います。どうせ買ってくれないなら憶えてもらう為に「ケンカを吹っ掛ける・・」事も度々ありました。

ところが「本気で言い争ったトコ」がほとんど得意先になりました。

 

 

酒屋を「奴隷扱いするトコ」と「大事な仕入れ先」として扱ってくれるトコとでは対応が全然違います。

ですから「こちらの気持ちの入り具合も違います」。

で、結局「ビールしか卸ていないトコは往々にして奴隷扱い」が多かったです。「ドコでもダレでも売れる・他所では もっと安く売ってる・代わりはいくらでもいる・・」というのが見て取れます。

 

「舵を切る」決断をして、得意先が所除に増え「仕入れ蔵元」さんも毎年一軒ずつ増やしていけた矢先に「焼酎プーム」がやってきました。

私、焼酎が苦手なんです。もちろん今でも売ってはいます。一蔵さんだけ大事にです。そこのは美味しいと思うから・・。

でも、クサイと見向きもされなかった「芋焼酎」がある日 突然「風向きが変ったかの様に・・」旨いと言い出す方が続出しました。空前の「なんでも焼酎ブーム」です。

今だから時効でしょうが・・そんなある日「酒類メーカーの女の子からメールで・・」、「三日後に焼酎関係が全酒 出荷規制が掛かるから ある程度押さえておくように・・」のアドバイスがありました。

半信半疑で・・・三日間「少しずつ・・」いつもより かなり多めの手配をした矢先「彼女の言った通り」になり

その後、「問屋さんは大騒ぎ」になりましたな・・・。

 

焼酎を本気でやるつもりは「ハナから無し・・」でしたから、乾き切った市場に「在庫分を案内」すると「あっと言う間に吸い込まれて終わり」です。

問題と感心は「メーカーと問屋は このアト どんな対応をするか ??」でした。

結果からすると「問屋の対応は前年度実績配分」。これは「ある種フェア」だと思います。

ところが「メーカーの対応は各社とも違う」のが面白かったです。「この時の対応」が もしかしたら「現在の焼酎市場」の勢力図に反映されているのかも知れませんが 事象以外に私は あまり感心はありません。

 

さて、本題です。

本当にモノが足りなくなった時に「メーカーはどう対応するのか ??」を教訓に この「舵を切った業界」も いずれは同じ事が起きる可能性もあるとの「期待を込める・・」には ほど遠いのが現実でした。

 

 

無名の実績もコネ無い酒屋が「舵を切った」訳ですから「有名ブランド」はゼロです。

なぜなら「酒販免許が下りた その日に県下一の蔵元さんに電話して取り引きを お願いするも 営業部長さん直々に ケンモホロロの扱い・・」で、身に染みてます。

まっ・・・しごく当然の事とは思います。

 

自信があるも無いも「自身の舌を信じて」旨いと思い「担当者を信じる直感」だけで「試飲会でのツテ」を唯一の頼りに「所除に増やしていきました・・」。

オンリーブランド、「片手以内の取り引き蔵」で勝負するのが常道。なのだろう・・は、解ってはいましたが「剰りにも魅力的な酒と人」に出会う度に「立ち止まって考えても やらなかったら絶対に後悔する」想いと「なんとか この人の酒を売って コイツを世の中に出してやりたい・・」だけでした。

自分でさえ「世の中に出ていないのに・・」ふざけたヤツです。

 

それと・・・

あの時の焼酎メーカーの対応です。

いずれ「この事が教訓になる時が来る・・」って。

 

「入手困難な酒」があります。・・

を看板に掲げる地酒屋さんが珍しくなくなりました。

揶揄する事では無く「そこらへんの一般の酒屋さんとは違います・・」の意味合いも含まれていました。

 

酒屋に成りきれなかった酒屋が「同じトコに向って進む・・」と、地域間を超えた競争が起こるのは時間の問題です。3〜4前くらいから当店の様な「田舎の酒販店」でも 「アレ、あれれぇー・・」という「何か違うぞ・・」の感覚が始まりました。

たぶん「地酒プーム」というヤツが やって来たみたいです。

 

そして 雑誌が煽り、「たぶん焼酎が飽きちゃった面々・・」、講釈・ウンチクが大好きな方々の恰好のカテゴリーに「日本酒・地酒業界」が愛されたみたいです。

つまり「造り手・売り手・飲み手」の すべてが「この愛され方が大好きな証拠です」。

ひとつの分野でも欠けていたら 成り立たない訳ですから・・。

 

かくゆう私も大好きな一人・・なんでしょう。この業界にいるって事は・・。

造っている人間の素情・売れない時の苦労・お酒に対する新たな取り組み・新しい機械の導入・新製品・同業者間の繋がり・新技術・農家さんとの関わり・圃場の環境

見るもの・聞くもの関心ばかりです。

ですから「造りの時期」には なるべく「蔵見学をさせて頂き」、蔵元さんの真意を折り曲げずに「自分の言葉で説明する」をやってきました。

でも、それに時間を掛け過ぎたみたいです。

 

プームがやってきて本当に「入手困難な酒」が現れそうです。

もう私の力では どうしようもありません。

ただ「泣き言」は言いませんし悲観的でもありません。

得意先様・お客様には「今ある私と当店のオススメ」をキッチリ説明して

気持ち良く「楽しい時間」を過ごす お手伝いをするだけです。

 

だって その気になれば「ネットで どんな有名ブランドでも買える・・」んですから。

昨日も「今期、松尾大社のイベントでトップ」となった蔵元さんより電話がありました。

この結果が新聞に載ったのを見て直感した通りの事が「やはり電話で やってきました」。

正直、コワイですね。彼を責めているのではありません。

また、来年も「このイベントがある」のですが「次はドコの酒蔵が賞を取るのでしょうか  ・・」。

 

世の中、流行りモノが大好きです。スターを求めています。

そして、自分がスターになりたがっています。

更に「本当のスターになった」蔵元さん達の言動・行動は近年 変ってきてます。

あの「焼酎ブーム」に酷似して。

 

まぁー日本酒蔵元さん方は「同じ轍は踏む程ドジじゃ無い・・」ですが。

 

最近、「舵を切った時」に同業者の先輩が言われた事を よく思い出します。

「地酒屋はな お客さんにアタマを下げ、蔵元さんにもアタマを下げる」。そういう業種なんだ。

それだけは忘れたらイカンよ・・。

忘れた事は無いけど「非常に重たい言葉」だと思ってます。この歳になって・・。