2020年12月

高嶺錦・・飯田、下伊那の地酒米。

信州が新開発した「山恵錦(さんけいにしき)」が脚光を浴び

新たに取り組む 圃場(農家さん)、蔵元(酒造元)が増え続けております。

もっと良いもの・・

新たなる可能性・・

バリエーションの多様性・・などなど、

期待値は上がり続けております。

 

都道府県ごとに・・推奨酒米なるものが 4種ほど指定されております。

信州では・・・

・美山錦・・永らく信州の基軸酒米

・ひとごこち・・現在の主流とも言えるエース格。

・金紋錦・・蔵元の個性が出る 純米大吟醸が主体。

 

そして・・高嶺錦。

この中では 一番知名度も印象度も薄く感じられるかと・・

さもありなん・・

信州には当店の地元でしか栽培されておらず(R1byまで)

最大にして最高級生産地でありながらも ほとんど評価すらされていない

現実・・。

 

かくゆう・・私もその一人。

認識を変える切っ掛けは「佐久の花・高橋社長」。

取り引きの折衝に蔵元に伺ったところ、取り引きの話しは そっちのけで高嶺錦。

「なぜ、飯田では高嶺錦が認知されていないんだ」。

「高嶺錦の希少性と品質とストーリーを あなた自身 どれほど解っているのか ?? 」。

最後には 「地元の優位性と それを伝える意識と義務感に欠けている」とさえ言われて

本心は完全にキレ掛かった私。

 

つまり・・

私でさえ解っていない事が 一般客に認知されているハズなと無く・・

裏を返せば 高橋社長は それほど高嶺錦を大事に想い、扱い、もっと欲しいのだと

言う意思表示なんだと。

だから・・「なんとか してくれよ・・高嶺錦の地元 酒販店として」、

とのエールだと 勝手に解釈して そして今に至っております。

現在、高嶺錦を原料米に使用している蔵元は・・

飯田、地元の「キクスイ酒造」

岡谷、豊島屋の限定ブランド 豊香。

佐久・臼田の「佐久の花酒造」のみ。

なぜなら・・酒米の生産量が少ないから。

 

ある側面しか知らない・・

観る機会が無い事への責任の一端を追う ??

事にも なっちゃった当店ですが、

地元の宝をに光を当てる事を今後も怠る事無く

行って参ります。

イイモノは良い。

そういう事です。

 

まずは一度、お試し下さい。

それから・・ですから。

 

私の日本酒師匠である渡邊さんがお亡くなりになりました。

ココ一年程 以前の覇気が無くなり強気な発言も減って・・

「・・らしく無いなぁー」と、思っていたトコに夕刊の記事でした。

 

本日、お越しのお客様も「泉さん(師匠の店名)まだ休んでるよね・・」というお客様が何名かいらして。

 

初めて渡邊さんの店に伺った時の事など全然 憶えていない。

つまり 構えて行った訳じゃ無い。

なんかの弾みで飲みに行って 私自身が「地酒の世界は自分なんぞが入り込める世界では無い」という感覚でしたから、酒屋である事さえも 何年かは話した事も無かった気が・・。

一緒に試飲会に誘って頂ける様になり松本で「酒メッセ」が開かれた翌日・・

「明日、店に顔を出してくれ・・」と、連絡あり。

伺うと・・「この銘柄と取り引きは出来るか ??

ケツは俺が持つから 五蔵元の この酒を取れ・・」と、否応無し。

 

当時、まだ酒屋としては駆け出しの「酒屋一代目・・」は、試飲会で誰も試飲の お客がいないながら 一発で気に入った「松本の大信州」と取り引きを始めたばかりで 限定流通も4蔵目。

それが・・

「川中島の千野酒造店の娘が杜氏をやってる幻舞が すごく良かったんだ 其所の酒をなんとかしろ」との厳命。

今から17年も前の事・・。

早速、連絡をすると・・

「長野市を中心とした(幻舞の会)という組織のPBなので そちらの確認が取れ次第

お酒の提供を行えます・・」との返事。

今や引く手数多の「川中島 幻舞」はこうして当店にやってきました。

 

当時は・・

焼酎ブーム前夜で 試飲会に行っても「焼酎ブースは満杯」。

日本酒ブースは閑古鳥が、当たり前の超低迷期。

 

渡邊さんも私も 日本酒が大好きで こんなにイイものが売れないハズは無い。

そして、「俺達が その役割を果たすんだ・・」という心意気。

必ず その時代は来る・・と。

実際、渡邊さんの目利きには間違いが無かったです。

 

ただ・・

ウチの師匠は「ケツを持ってくれる事は無かった・・」ので、

それを不良在庫にしない様に必死で営業しまくって、最後には買ってくれないなら

ケンカを吹っ掛けてでも 相手の感情を逆なでしても なんとか試飲まで持って行けば

ほぼ コチラの思い通りになる・・を、体験させて頂く事となりました。

 

 

どういう日本酒を選び、置いたら良いのだろうか ??

と、いう迷うも結局は「自分の旨いを お客様に拒否されたら その時は潔く潰れよう」と、開き直って 他人の評価は一切気にせず 自分の好みだけで 蔵元とお酒を選び

それを お客様に語り続けた事で 今の私があり、その原点をスパルタで鍛えてくれたのが、師匠である渡邊さんです。

 

本当に ありがとうございました。

 

ここ・・5年くらいは 試飲酒を持って行くと・・

その三倍かえしで、自分の選んだ酒を3種くらい試飲させて・・

私の感想を微笑みながら「よぉーし 俺の感覚もまだまだ大丈夫だな・・」

なんて 訳のワカラナイ事を言ってたけどね。

 

私は一生掛かっても あなたに追いつける何て コレっぽちも思った事は無いけれど、

間違い無く 今 俺が有り続ける事が出来るのは あなたのお陰です。

 

本当に・・本当に  ありがとうございました。