蔵元

「ひなまつりの日」に・・。

弥生の声を聞くと・・・

冬ごもり、いや「酒こもり」していた蔵人・杜氏さん方から電話を頂く事が増えます。

つまり、「峠を超えたシルシ」だと思ってます。

ただし、蔵仕事が終わらないと顔を合わせるなんて無いのが普通なんですが・・・

 

いきなり 岡谷・高天酒造の高橋美絵 杜氏代理から電話があって「これから お酒を持ってきたいですが いらっしゃいますか ??」と。

固い紹介ですか面と向っては「美絵ちゃん・・」と呼ばさせて頂いております。

単純に私の方が年長者だからです。

 

ウチの嫁さんも子供達も「美絵ちゃん」が大好きです。

彼女が毎年「試験的に仕込む・高天 美絵スペシャル 純米吟醸」は今や当店の大事な看板であり「新酒を待ってくれている お客様」が年々増えるばかりです。

 

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彼女は若手ながらハイレベルの「旨味の酒」を醸す技能者です。

昨期からは杜氏代理。そして近いうちに「杜氏になる」蔵元の娘さんです。

 

高天さんには「信州の名工・伊藤杜氏」が いらっしゃいますが その下で10年間も過ごして来て 本人も満足な蔵生活の様で・・・。

蔵仕事が続く中でも「蔵を空ける事がデキル環境」を作って息抜きながら来てもらうと「二時間くらいはすぐに・・」経ってしまいます。

互いの対話で その期の事が「なんとなく感じる・・」様になりました。

 

美絵スペシャルを扱い始めて「8年目」になるかと思います。

段々と発注が増やせる事を「すべての方に感謝」しております。

 

今期のは・・

膨らみ・旨味・余韻のキレ・・高天・美絵SPらしさ全開です。

GWくらいまでは「中取り・無濾過生原酒」

それ以降は「火入れ・無濾過原酒」となります。

今期は新酒の時期まで「酒を切らさない」商品計画となっておりますので、

安心して お飲み下さい・・・。

 

 

蔵元紀行

表題の様なノン気なものではありません。

なにしろ仕事ですから。それと好奇心が69%くらいプラスされてます。

 

この時期の定休日は「蔵元さんを廻る」が続きます。

造りの現場を見学させて頂き、対話による情報交換と実質的になります。
まっ、タルミ切った精神に「喝・・」を入れる意味合いが大きいですが・・。

 

今回は少し気合の入り方が違います。

理由は追々、書かせて頂きますが。

 

当たり前ですが、酒造りの工程は基本的に「ドコの蔵元さんも一緒」です。

ただ、個々の考え方で「精度の差」が表れ それが「酒質の差」となって現れます。

同じ1メートルであっても「誤差1㎝と1mmでも許さない」くらいの違い。

 

そして、大変失礼な言い方をあえてしますと「杜氏さんの感性の差」もあるのだと思います。

大きな蔵は「蔵人の分業制」で現場監督である「杜氏さんの指揮の下」精度の緊密差と統一性を保っています。

 

対して 小さな蔵元は「杜氏の個性での精度」を環境が許せば トコトン突き詰める事が出来ます。

その典型を目の当たりにして ガラにも無く「アートだ・・」と感じました。

 

経営者の社長さんの統一性と、信頼して任せ切っている杜氏さんの信頼関係は 他蔵様の信頼関係とは また違う「太い方向性の上に乗り切った同志」に見えました。

 

杜氏曰く「日本一の麹室だ」と。

明らかにカラダに感じる感覚が この室は違います。

こんな興奮は最近無かったです。

 

 

全然 ドコの事か ここまで読んだだけではワカラナイですね。

種明かしは近々・・。

 

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画像はイメージです ??

 

 

ところで・・
父は酒屋では無いので「この蔵元廻り・・」を良く思っていません。
休みの日に「なんで金を掛けてまで見に行くんだ。どこも やってる事は一緒だろう・・」って。
無理も無いとは思いますが ココを突破デキナイと他人様を突破するなど無理。いや、他所様の方がラクかもしれません。
父は創業者ですから その意向をないがしろにする事は絶対に無いです。
そして「創業も継承も継続は難解だと言う事・・」です。

 

 

蔵元見学

蔵元さんとの「限定直接取り引き」の中で 酒販店が行うべき行動の「ひとつ」に蔵元に伺い「製造の現場を見学させて頂く・・」があります。

 

義務とか権利とか・・なんていうウザイ話しでは無くて・・・

その時期に見ておかないと「一年間は説得力を持った販売できないんです。」

設備・試行錯誤・方向性・などを対話と目で確認する事により なにか「お客様に聞かれても対処デキル」んです。

造りの現場に何回も足を運んでいるうちに・・。

 

そんな現場には・・

やはり興味を持った お客様と一緒に伺うと「また 違う発見」があるものです。

そして お客様である「素人の質問が一番恐い蔵元さんです・・」。

 

今回は・・

大信州の槽場詰め(ふなばつめ)に合わせて 飯山の北光正宗さんと「一日二個所のハードスケジュールです」。

飯田を6時に出て丸12時間の 旅です。

 

北光の村松専務には 昨秋より お願いしてありました。

文字通りの若手のホープであり「挑戦的・実験的・理論的」な「オトコマエ杜氏」です。

最近のいずれは社長になる「蔵元杜氏はイイオトコ」ばかりで 容姿端麗で無いと「酒造りを やったらイカンのか ??」とさえ思ってしまう 昭和体型の酒屋です。

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製造工程に沿って・・
一通り現場を見て行きます。私も今回、再発見がありました。

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最後は・・・
お約束の試飲です。次々と 酒を開けていく気前の良さには脱帽です。

そして・・・記念撮影。

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続いて・・・大信州。

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当日は一般客様も一緒に当日 搾ったばかりの酒を自身で瓶詰めして頂く 槽場詰め です。

 

こちらも工程に沿って案内ですが・・・

やはり一番時間を取るのが 自慢の精米工場

ココだけは外せない一番の売りであり良い蒸しを仕上げる基本ですからね。

契約栽培農家の米は顔写真で紹介されてました。

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ホントは・・・
三回くらい見て頂くと やっと解る事が出来ると思っています。

また、行きます。
そして・・・ 今期の蔵見学は続きます。

律儀なオトコ、来店・・。

まっ、師走に入ったから もうイイでしょう・・。

 

11月の中旬、ある蔵人が「カワイイ奥様、今年生まれた娘」と一緒に私を訪ねてくれました。
以前より「ずっと知ってる・・」も 限定ブランドの取り引きはありません。

それまでも、試飲会で顔を合わせたり・蔵にも伺った事もあり。
今年になって蔵元を招いてのウチの「猪口の会」に お客様として参加してくれたり。

どうやら「その会のアト・・」で彼の態度がガラッ・・と変りました。
普段の態度と「猪口の会」での私の 言動と仕切が普段とは違う事で・・
解ってくれたのかも知れません。なんて、こっちが勝手におもっているだけですが・・・。

 

蔵元さん・・
は、過去からの負債の蓄積でドコも苦しんでいます。
それでも、十四代の「高木酒造」さんの頃からでしょうか、旨い酒を造り
認められれば「いろんな夢を掴み取る事がデキル・・」現実を目の当たりにして、

蔵元の子息・子女が杜氏という立場で酒造りに関わり、成果と結果を出して 次々とスターを生み出してきました。
決して「逃げる事の出来ない背水の陣の中で・・」。

 

その中で「オーナー一族ではない・・」杜氏でも無い「一蔵人の発信力」が ココまで蔵の評価を換えた「希有なケース」が「その彼」が元居た蔵元でした。

地域を巻き込み、田舎を活かした発信と 年々 精度の上がる酒質に驚異すら感じてました。
今年より・・・彼の蔵が、
地元の優良企業の傘下に入る事により「私としては彼の夢が更に膨らむもの・・」として歓迎すらしておりました。

 

ただ・・
結果として、彼は「自分が育てて来たブランドから決別」して 友好関係にある県内の先輩の蔵元へ「退職して移籍」という事になりました。

その報告と挨拶に わざわざ時間を作って来てくれました。
いろんな人の見方がありますが「どっちが良くて、どっちが悪い・・」という眠たい話しではありません。
サラリーマン・・・
として勤めた以上は「早い遅いはあるにせよ いずれは退職しなくてはならない・・」だけの事ですから。

移籍する蔵元は 当店とも取り引きのある蔵元さんですが、結果として「今までよりも濃い関係」となりそうです。
ここまで書けば・・・業界関係者なら「誰の事を言っているのか・・」解るかと思います。

 

すぐに そういう事を書かなかったのは彼への応援です。
他人様の動向を時系列で書き立てるくらい「無神経な事は無い」と思ってます。
師走に入って「彼も完全に次のスタートを切った・・」だろうし、私も必ず顔を合わせる事になるだろうし、
蔵見学に行けば「お客様が顔を合わせた時に驚かない為の予防策」です。

礼を以て律する。
また、彼に「当たり前の事を教わりました・・。」

これからも よろしくお願いします。

蔵巡りの日

番外的なモノは除いて・・・
オフシャルとしては ココ10年間は「新酒第一弾・・」として 大信州 槽場詰めをズッと押してきました。

まっ、最初は「誰も知らない酒」を知名度の低い酒屋が紹介する訳ですから「誰にも相手されない・・」に近かったんです。
でも、「俺は正しい事してるんだ・旨いのを紹介してるんだ・・」の想い込み(そうで無ければやってられないや・・」)だけです。

不思議なもので「定着して認知度が上がってくれば・・」ちゃぁーんと数字もクッツイてきます。

 

今年も恒例の「長月第三週・・」は槽場詰めです。

でも、その前に・・・
6年間ご無沙汰しておりました丸世酒造店さんに伺いました。
ココは「甘口・旨酸味」をたたえた独特の純米を造り出していて 今は退職をした「20代の杜氏が醸す酒」を私はとても気に入ってました。

たまたま・・なのでしょうが「彼がヤメた頃」から「軽いタッチの酸味感が淡い酒」になってきたので暫く ご無沙汰してました。とても回りクドい言い方ですが「限定流通では無い」(そうは言っても直接取り引きはしていましたが)ので 自然消滅的な「酒を頂かない・・」年が何年も続きました。

 

丸世の関社長とは顔を合わせる度に「また、やってちょーだいよ・・」と言われ続けました。
昨年当たりから「あの甘旨味・・」が復活してきました。

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そして「盟友の酒屋」が「一緒に蔵見学に行って欲しい・・」との事でしたので 恥を忍んで「6年ぶりに伺いました」。

息子さんが家業を継いで「酒造り」をされている様です。
設備は以前 お邪魔した時と同じままです。ただ、「細かな作業に課題を持っていて」いずれは「自分の思い通りの造りで勝負をしたい・・」と社長がいないトコで話しをしてくれて・・・決めました。

あの独特なラベルの「旭の出 勢正宗」が当店に戻ってきます。
こういうスタイルは初めてです。

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