「酒米が足りない理由」

「酒米が足りないので、お酒が造れません」という状況が すでに始まっているというコワイ話し。
全然、他人事なんかじゃないんですけどね・・。

現実問題として・・・

一号仕込みまでに「原料米の数量確保」が出来なかった為に

・仕込み時期を遅らせる。

・欲しい量が足りなくても確保出来た分だけの「少量生産で一号仕込み」を間に合わせる。

・予定を変更して「古米での仕込み・ないしは掛米に使う」

これでも「新酒になります」違法行為・違法表示ではありません。

が、「新米・新酒」を以て「新酒となす・・」という心的了解事項がありますので

隠しはしませんが「一般には公示されにくい状況です」。

 

なんでこうなっちゃったかと言うと

まずは「東日本大震災」です。

日本の穀倉地帯が 言葉を恐れずに言えば「壊滅した訳ですから・・」。

食べる米が、そして「安全で安心な米の生産」が第一優先になった次第です。                   風評被害だ なんだとは言われても「自分達の食べる米だけは安全であろう地域から調達したい」ですからね。

 

そして以前から、飯米(炊くご飯用)と、酒米(蒸す 醸造用)ですと「飯米の方が生産者価格が良いのです」。

ですから経済原則で言うと「無くても困らない酒米の生産をして頂ける農家さんは皆無」でも致し方の無いトコロなのですが、そこは「農家さんの理解と心意気」で蔵元さんの要望に応えてきた訳です。                 「飯米が充足している・・」前提の常時ではね。

さらに・・・                                                今まで理解者であった「酒米生産者の年齢が上がって・・」「後継者がい無い」「生産打ち切り・・」        という「小規模生産者ほど・・」止める頻度が高い。それでも、それらの集合帯って貴重であったハズだったんですけどね。

今や・・・                                                 「より高品質の酒米を量的にも確保したい」の動きを早くから示して、有能な若手農業者が耕作する生産適地との「契約栽培を取り付けている蔵元」以外は 今後、益々 「高品質酒米の確保」が難しい状況となりそうです。

特に・・・JA頼みの蔵元さんは・・。

 

誰だって「養殖よりも天然モノを食べたいよね・・」ですから・・。

蔵元が酒造り以外の時期に蔵人さんを動員して「自社米生産・・」を唄っている「商品・蔵元」が「モノかたり」として表示しているトコもあります。

否定はしません。が、米造りは「農業のプロ」に作って頂いた方が・・。

「酒造りのプロ」に徹してナンボかと思います蔵元さんは・・。

そして・・酒米不足の延長上に「原料米の値上げ」。小売り価格の値上げも「その要素のひとつ」です。

 

当店に嫁いで来る酒の原料も多種多様。

信州産の代名詞である「ひとごこち・美山錦・金紋錦」は当然として「五百万石・愛燦々・備前雄町・愛山・八反錦」。そしに別格の王様「山田錦」など・・。

 

そんな中での取り組みが「飯米を使っての酒造り・・」という試み。

今まで無かった訳では無いけれど「今後も考えての新たな試験」というスタンツで 今期「トライアルシリーズ」として「飯山の北光正宗・村松専務」が「コシヒカリ・1801酵母・高温糖化・純米吟醸生」で打ち出して来た酒のサンプルが「飯米レベルを越えていた・・」ので極少量ながらも 頂きました。

彼の蔵は今期も「契約栽培米」で全量仕込みが出来て間に合っているのに「トライアル・・」という拍手もの。

試飲・購入を頂いた方からも「高い評価を頂く・・」カタチとなっております。

欲しい方は早めにどうぞ・・。

心意気を味わいたい方は・・。

北光正宗トライアル純米吟醸こしひかり

 

 

 

飲み頃・常に試してます。

長野県の南端・飯田市で「信州の地酒を看板」に家族で酒販店を営んでいる信州旨酒 加藤商店です。

酒屋一代目はアマノジャクから お越しの方はコチラが継続ブログとなりますので 宜しくお願いします。

当面は酒販面を中心にお届けするつもり・・ですが「いつ脱線するかは見てのオタノシミ・・」です。

私は説明が下手なので 時に長い文章となる場合もありますが「太字を中心」に読んで頂ければ短時間ですみます。

たぶん、そういう読み方はオモシロく無いとは思いますが・・。

 

地酒・・を前面に押し立てての業務ですので「料飲店さん」との お付き合いも多いです。

その中で最近、多くの質問を頂くのは「この酒は どのくらいの期間のウチに売り切ったら良いですか ?」です。

つまり「飲み頃をハズさずに 美味しい時期に提供したい」の店主さん・担当者さんばかりです。

さもありなん・・なのは都市部とは違って「田舎では一升瓶を一日で売り切る」なんて 有り得ない事が解っているからです。

 

有名ブランドであっても「繊細な酒は長期間は持たない」事が体験的に料飲店の中で認識されてきたからです。「味が抜けている・異臭がする・不味い」というクレームが「その場で お客様に言って頂ける店」は まだシアワセです。

「マイナスのクチコミ」が一人歩きしたり、当店にお越しの お客様からも「○○へ行って○○を飲んだけど味抜けをして旨く無かった・・」なんて話しが 普通に出て来ます。

「ウチの酒が そんな事でイメージダウンになるのはガマン出来ない・・」と、蔵元 自ら料飲店さんの「講習活動」を始めるトコも出てきました。

「数はチカラだ・・」的に 業界紙に載っている「都市部の居酒屋」並みに10種類程の日本酒が開栓状態である事は少なくなってきました。お客様が常に「未開栓の状態」の酒を開けたがるのも人情としては解りますが それをどう回転させるかが「飲み頃」との兼ね合いになりますし、当店では「3種類回転」を提唱しております。

 

おおざっぱな結論から言わせて頂くと・・・

当店で納めている日本酒は「二週間以内に売り切る」を お願いしております。

あまりに「繊細過ぎる酒・生臭的な酒・開栓三日程でヘタレてしまう酒」などは薦めません。

逆に「開栓したてよりも五日程経って角が取れ旨味が膨らむタイプ」が私は好きですしお薦めです。

 

どこで判断するか・・・

蔵元さんの案内にもよりますが 余程の稀少品でも無い限り「販売前に試飲確認」します。そこで「自分なりの判断をして・家族に伝え・お客様に お伝えします」。

それだけでは不充分なので「試飲酒を二日単位で試飲」していきます。

変化の度合いのオモシロさと「飲み頃としての許容が自分の最初の判断と合っていたのか」の検証です。

それだけでは「仕事としてだけでオモシロく無い」ので「その日の酒肴と一緒に合わせて」いきます。

合いそうな物・合いそうで無い物・もアタマの中だけで無く「実際に合わせ試す」事で経験として「お伝えする材料」とさせてもらいます。

ベツバンとエノキ天ぷら

今回の・・

大信州 純米吟醸 別囲い番外品(通称ベツバン)は、先月の「猪口の会」に開栓したものを そのまま引っ張ってみました。実際「ドコまで持つのだろうか ?」と。

この酒の特徴である「旨味・キレ・心地良い苦み感」の開栓直後の感想から 三週間経って「より旨味が膨らんで・余韻の軽い苦み感が引き立つ」ヅケマグロにピッタリでした。

一般的な感想を引き出すには「父の感想も重要ですので・・」。

「やっ、コレはぅ旨いなぁー・・」と。

トドメの一杯は こうしてキレイに消えていきました。

 

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