酒屋って大変なんです

試飲はツライよ・・。

信州の南端・飯田の住宅地で地酒専門店・信州旨酒 加藤商店の「マブシイ店主」やっている加藤です。

なんかイマイチ 決まらんナァー・・。

 

以前は「試飲会が楽しかった・・」んです。

イベントであろうがメーカー試飲会であろうが「どんな酒があるのか興味津々」でした。

扱い数が今よりも段違いに少なかったので「売る商材探し」をしないと仕事になりませんでしたので。

 

でもね・・

いつの頃からか試飲が「とても辛くなりました・・」。

元々は下戸ですし200種くらい並んでいても勝負は最初の30種。

ワカル範囲は 約その倍くらい・・。

目安を付けておいて30分以内に目当ての試飲を済ませるのが「オレ流」です。

要は酔う前に決着を付けるんです。

ですから・・

始まると早いですよぉー・・。

 

ですから・・

試飲会は憂鬱になります。

今年に限って言うと、先日の県内最大の日本酒試飲イベント「長野酒メッセ」を地酒専門店を目指してから理由も無く初めて参加を見送りました。

いや、理由は行く気にならなかったんです。

羅列すると・・

・朝まで便器と お友達は もうイヤだ(下戸ですので・・)

・往復5時間のバス道中が辛い。

・人酔いしそうだ(大人数が苦手です)

そして最大の理由が・・

・これから売る酒が「もう無い」。あるいは「出てこない」です。

繁忙期である年末用に販売デキル日本酒を探し 来期以降に取り引きを開始したい蔵元をピックアップする。が、最初の頃の目的でしたが、昨今の「日本酒ブーム」で 「この時期にはすでに売る酒が無い」蔵元さんが圧倒的に多いです。ですから このイベント用に「試飲酒だけをストックして来期用の販促にする。あるいは一般客に知ってもらう」のスタイルが二年程前から出てきました。

当店に限って言うと「ほぼ全取り引き蔵が コレに該当する・・」状況です。

ですから、「顔合わせ・意見交換を一ケ所でデキルメリット」だけでの参加となると「それ以外でも顔を合わせる機会がある」のと、これから「販売が開始される試飲酒」を送ってくれる蔵元さんが多いので 純粋に「イベントとして楽しめないと・・」オモシロく無いんです。

 

つまり・・

仕事としての「酒屋がオモシロく無い」と思い始めているのか ??

そして、「だったらイベントに参加したいと思う為にも今回は欠席して どんな気持ちになるか確かめてみよう」でした。ですが「全然、喪失感みたいなものが出てこないんです」。

なんでだろうか・・。

どうやら「想いが強過ぎていた季節」から俯瞰で見る「経営目線に移行している・・」と思いたいです。

手抜き・・では無くて「肩のチカラを抜いた状態」であると。

 

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事前に、あるいは購入時に「サンプル試飲酒」を頂ける蔵元さんが増えてきて感謝しております。

だからと言って「頂け無いトコがダメ」という話しではありません。

こちらの解釈としては「あくまで厚意」として受け取っています。

 

今シーズンの「某イベント」でグランプリを取り「NHKの日曜夜7時のニュース」でも取り上げられた事により

一躍「全国区入り」した「澤の花 伴野貴之君」の「試飲酒提供の考え・・」は、売れなかった時も・今も全くブレて無いです。

一回、聞いたんです。

「試飲酒はドコでも多くて300ml。普通は180mlくらいなのに どうして伴野君は720ml瓶を一本も送ってくれるの ??」。

彼は最初「移し替えるのが面倒だから・・」みたいな事を言ってたのに最後は・・

「火入れ酒なんかは開栓したら香りが飛ぶじゃ無いですか。小分けにして意味が無いので 販売酒をそのまま試飲酒にして送ってます」と太っ腹な返答。

こちらも多くの方に試飲体験をして頂けますし、時間経過で「売り切る時期」の「予想と確認」まで出来ます。

 

まっ、彼が特別だと言う事です。

仕事は「イヤイヤやる」のは「負の部分」ばかりでは無いんじゃないか。

あー・・仕事が嫌いになっていく・・。

 

マンジュウコワイ・・だね。

 

 

 

ネットバンキング

「ネットバンキングでの振込は可能ですか ??」と、初めての問い合わせを頂きました。私は「ネット・・」を使っていないので「チト慌てて銀行に確認・・」。お客様が登録をされていれば「すぐにOK」なんですね。

 

 

通常は・・「郵便振込を確認してから発送」という前近代的な決済システムです。コレ「手数料の削減」からすると有効で使えるかもしれません。

 

 

あっ、実は「当店のHP」から受注デキル「通販機能」もあります。当然「税務署の許可」を受けた「通信販売酒販免許」を持っています。

そうは言っても「後発・全国の専門店でやっている・特段目立ったHPでは無い・ネット広告等も出していない・・」ので すぐに発注なんてある訳が無い・・。と、思ってました。
が、来るんですよね。ただ「とても細かいし作業工程が多い」ので「今ではシステマティックな販売工程を休止中・・」です。近々「北海道の本屋さん方式」の通販で再開致します。

 

それ以外は・・メール・そして当店では「電話からの問い合わせ」が多いです。

どうも「直接対話して 好みの酒のニュアンスから探ろう」という お客様の思考です。電話代等を思うと「申し訳ない・・」しかありませんが 電話の お客様は本質が解ってらっしゃいます。
つまり・・
ネットでは「稀少な情報は流さない」。質・量ともにね・・。
という事を知っていて「直接対話で確認」されます。

 

要は人間とは「アナログ度が 高まる程 親近感も高まる」という
当たり前の事です。

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ちなみに・・
宅配業者は「ヤマト運輸」さんに お願いをしております。
今は一時的に「他の業者の方が安く・カテゴリー規制も緩い」でも やはり確実性・信用度では「他の追随を許さないガリバー」だと信じております。
温度管理問題を除いては・・今まで「一度も事故は無い」ですし。
取り引き蔵元さんが「国営企業の業者」を使ってらっしゃるんですが よく「一度県外を周遊してから到着する」んです。
まっ・・何かが違うんでしょうな・・。

来期の「通販機能の充実」に向けて「年末期は試行期」になります。搾ったカタチでの「個別対応とセット販売」になりそうです。

 

北海道の酒屋さんは次元が違う

以前よりの懸案と念願でした「札幌の有力酒販店を見学するツアー」に参加しました。
大信州さんが主催する県内酒販店勉強会「目聞塾」の「百聞は一見に・・」の一貫です。

同時に「三日間留守をする」訳でして その段取りと「嫁さんに任せる」の試験行動でもありました。
家族経営でも「実質把握しているのは私だけ」というのは 今後の事を考えると「解除していかないとならぬ道」ですので。

写真 1

彼女の事を「私の嫁さん」だと勘違いしている方も多いのですが 私の盟友である「松川町の恵比寿屋・自称番頭Aこと アッコちゃん」です。

 

 

田舎の人間は「滅多に飛行機にも乗りません」。
そこへきて札幌は暴風雨で飛行機が揺れに揺れてまいりました。

 

百万都市・観光都市・政令指定都市・・

ですので「人口の倍する商圏人口」であると同時に超激戦地区である事は間違い無いのですが、

地酒専門店をあり「地酒を大事に売っていこうと志向する集団・北斗千国会」の連携と仲間意識・志向行動が

すべて規範になりますから「目ん玉をかっぽじって・・」「耳も超ダンボ」です。

 

写真 2

 

夜は「少しだけ観光気分」とやらで・・

札幌ビール園・・

写真 3

 

そして このアトの「すすきの」の居酒屋さんがスゴかった・・。

「日本一 椎茸の焼き方にウルサイ店」を唄っているだけあって「食材・理詰め・焼き方指南」。

基本思想があるから「テクニックにも意味がある」実践と繁盛ぶりに唖然です。

 

写真 4

三日間で「勉強会・酒販店を5店・飲食店勉強会」と「ギュウギュウ詰め」ながらも超濃厚な内容でした。

この事は 家族・店舗・得意先様に活かして「当店と私を信頼して下さる方々に お伝え致します」。

 

 

本当に「入手困難な時代」がやってきた

「あくまで「泣き言や愚痴」のたぐいでは無く「今、まさにそういう時代」なんだ。

と、言う事で お聞き下さい。

 

ウチの業界、いわゆる「地酒専門店」とは創業時から「専門店化」しているケースは稀です。

要は「規制緩和の下、ディスカウント全盛になり業績悪化を打破し 克つ酒屋としてのプライドを維持する手法」として選択せざる得ない・・が、たぶんほとんどだと思います。

コンビニ・飲食店などに転換できたところはカタチとしては残っていますが アトは廃業か、あるいは他業種転換

できれば良し・・です。

 

ちなみに当店の場合は「本業があって」規制緩和時に新規参入させて頂いたものの「すぐにディスカウントの波」に晒される結果となりました。まあー、他県あるいは全国的な動向を見ていれば「田舎も早かれ遅かれ・・」の予想通りでしたけど・・。

ですから「ディスカウントさん」を敵視するのでは無く「友好的な関係」を築いて「ウチの有意義な仕入れ業者」として お付き合いをさせて頂きました。正規の問屋通しの「仕入れ価格より かなり安く」です。

現在では、「友好的な関係」を築いていた方々は すべて廃業されましたが・・。

 

地酒屋で修行し「そのノウハウを持って独立」する方以外、そのまま「地酒の道」に進む事は無いのが現実です。

なぜなら「正規流通・問屋任せ・・だけでやってきた酒屋さん」の流儀と、「地酒業界の流儀」は全く違う。

ハッキリ言うと真逆な訳です。この説明は「機会があったら・・」として・・。

 

脚色でも無く「酒屋一代目」である事は「解らない事だらけ」ですから「知らない事を教えてもらうに頭を下げる」は当たり前ですし苦にもなりません。それで解るのでしたら感謝ですから・・。

 

本格的に「地酒の業界に舵を切る」決断の前提として「もし三年間やって誰も相手にしてくれないなら 相手にしてくれなかった業界に打って出よう・・」と本気で思ってました。たぶん「目が血走ってたんじゃないか・・」と、思います。どうせ買ってくれないなら憶えてもらう為に「ケンカを吹っ掛ける・・」事も度々ありました。

ところが「本気で言い争ったトコ」がほとんど得意先になりました。

 

 

酒屋を「奴隷扱いするトコ」と「大事な仕入れ先」として扱ってくれるトコとでは対応が全然違います。

ですから「こちらの気持ちの入り具合も違います」。

で、結局「ビールしか卸ていないトコは往々にして奴隷扱い」が多かったです。「ドコでもダレでも売れる・他所では もっと安く売ってる・代わりはいくらでもいる・・」というのが見て取れます。

 

「舵を切る」決断をして、得意先が所除に増え「仕入れ蔵元」さんも毎年一軒ずつ増やしていけた矢先に「焼酎プーム」がやってきました。

私、焼酎が苦手なんです。もちろん今でも売ってはいます。一蔵さんだけ大事にです。そこのは美味しいと思うから・・。

でも、クサイと見向きもされなかった「芋焼酎」がある日 突然「風向きが変ったかの様に・・」旨いと言い出す方が続出しました。空前の「なんでも焼酎ブーム」です。

今だから時効でしょうが・・そんなある日「酒類メーカーの女の子からメールで・・」、「三日後に焼酎関係が全酒 出荷規制が掛かるから ある程度押さえておくように・・」のアドバイスがありました。

半信半疑で・・・三日間「少しずつ・・」いつもより かなり多めの手配をした矢先「彼女の言った通り」になり

その後、「問屋さんは大騒ぎ」になりましたな・・・。

 

焼酎を本気でやるつもりは「ハナから無し・・」でしたから、乾き切った市場に「在庫分を案内」すると「あっと言う間に吸い込まれて終わり」です。

問題と感心は「メーカーと問屋は このアト どんな対応をするか ??」でした。

結果からすると「問屋の対応は前年度実績配分」。これは「ある種フェア」だと思います。

ところが「メーカーの対応は各社とも違う」のが面白かったです。「この時の対応」が もしかしたら「現在の焼酎市場」の勢力図に反映されているのかも知れませんが 事象以外に私は あまり感心はありません。

 

さて、本題です。

本当にモノが足りなくなった時に「メーカーはどう対応するのか ??」を教訓に この「舵を切った業界」も いずれは同じ事が起きる可能性もあるとの「期待を込める・・」には ほど遠いのが現実でした。

 

 

無名の実績もコネ無い酒屋が「舵を切った」訳ですから「有名ブランド」はゼロです。

なぜなら「酒販免許が下りた その日に県下一の蔵元さんに電話して取り引きを お願いするも 営業部長さん直々に ケンモホロロの扱い・・」で、身に染みてます。

まっ・・・しごく当然の事とは思います。

 

自信があるも無いも「自身の舌を信じて」旨いと思い「担当者を信じる直感」だけで「試飲会でのツテ」を唯一の頼りに「所除に増やしていきました・・」。

オンリーブランド、「片手以内の取り引き蔵」で勝負するのが常道。なのだろう・・は、解ってはいましたが「剰りにも魅力的な酒と人」に出会う度に「立ち止まって考えても やらなかったら絶対に後悔する」想いと「なんとか この人の酒を売って コイツを世の中に出してやりたい・・」だけでした。

自分でさえ「世の中に出ていないのに・・」ふざけたヤツです。

 

それと・・・

あの時の焼酎メーカーの対応です。

いずれ「この事が教訓になる時が来る・・」って。

 

「入手困難な酒」があります。・・

を看板に掲げる地酒屋さんが珍しくなくなりました。

揶揄する事では無く「そこらへんの一般の酒屋さんとは違います・・」の意味合いも含まれていました。

 

酒屋に成りきれなかった酒屋が「同じトコに向って進む・・」と、地域間を超えた競争が起こるのは時間の問題です。3〜4前くらいから当店の様な「田舎の酒販店」でも 「アレ、あれれぇー・・」という「何か違うぞ・・」の感覚が始まりました。

たぶん「地酒プーム」というヤツが やって来たみたいです。

 

そして 雑誌が煽り、「たぶん焼酎が飽きちゃった面々・・」、講釈・ウンチクが大好きな方々の恰好のカテゴリーに「日本酒・地酒業界」が愛されたみたいです。

つまり「造り手・売り手・飲み手」の すべてが「この愛され方が大好きな証拠です」。

ひとつの分野でも欠けていたら 成り立たない訳ですから・・。

 

かくゆう私も大好きな一人・・なんでしょう。この業界にいるって事は・・。

造っている人間の素情・売れない時の苦労・お酒に対する新たな取り組み・新しい機械の導入・新製品・同業者間の繋がり・新技術・農家さんとの関わり・圃場の環境

見るもの・聞くもの関心ばかりです。

ですから「造りの時期」には なるべく「蔵見学をさせて頂き」、蔵元さんの真意を折り曲げずに「自分の言葉で説明する」をやってきました。

でも、それに時間を掛け過ぎたみたいです。

 

プームがやってきて本当に「入手困難な酒」が現れそうです。

もう私の力では どうしようもありません。

ただ「泣き言」は言いませんし悲観的でもありません。

得意先様・お客様には「今ある私と当店のオススメ」をキッチリ説明して

気持ち良く「楽しい時間」を過ごす お手伝いをするだけです。

 

だって その気になれば「ネットで どんな有名ブランドでも買える・・」んですから。

昨日も「今期、松尾大社のイベントでトップ」となった蔵元さんより電話がありました。

この結果が新聞に載ったのを見て直感した通りの事が「やはり電話で やってきました」。

正直、コワイですね。彼を責めているのではありません。

また、来年も「このイベントがある」のですが「次はドコの酒蔵が賞を取るのでしょうか  ・・」。

 

世の中、流行りモノが大好きです。スターを求めています。

そして、自分がスターになりたがっています。

更に「本当のスターになった」蔵元さん達の言動・行動は近年 変ってきてます。

あの「焼酎ブーム」に酷似して。

 

まぁー日本酒蔵元さん方は「同じ轍は踏む程ドジじゃ無い・・」ですが。

 

最近、「舵を切った時」に同業者の先輩が言われた事を よく思い出します。

「地酒屋はな お客さんにアタマを下げ、蔵元さんにもアタマを下げる」。そういう業種なんだ。

それだけは忘れたらイカンよ・・。

忘れた事は無いけど「非常に重たい言葉」だと思ってます。この歳になって・・。

 

 

 

 

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