2014年4月

ウチの「酒粕」が旨い理由

「今日の鍋は美味しいけど・・何を入れたの ?」って旦那が言うの。粕嫌いなので食べ終わったアトに言ったら「えぇー・・」って。臭く無いし・味に深みが出るし、普段使ってる粕とナニが違うの ?                                                                            同じ様な質問を良く受けます。ウチの「酒粕」達に・・。

夜明け前・酒粕

答えは簡単。旨い酒の「酒粕」だから。

完成された「モロミ」を分離する事により「酒と酒粕」に分ける訳ですから「旨い酒=旨い酒粕」となる 当たり前の図式です。しかも「香り・旨味の成分」は酒粕に吸収されやすい特性がありますので これを いかにして酒に偏らせて添加させるかが腕の見せ所。

極論すると「アルコール添加」による「本醸造・吟醸酒」も この要素への働きが大きいです。

単なる「アルコールで薄めて・利益を増幅させる」と思っている方が多い様ですが・・。

日本酒は「欠けた部分を自力で再現させるチカラがある」と考えられています。

つまり・・

上槽(じょぅそう)分離させる事で失った成分を「時間を掛けて回復させる」のも熟成の大きな要素。

ですから「生酒」にしても「火入れ酒」にしても「温度管理と熟成経過」が重要なのだと・・。

 

カス・・と言われる「酒粕」も多分に「回復的な要素」もあるものの・・・

搾り方・管理状況によって「味に大きな変化がある」のは 致し方の無いトコロかも・・。

ですから「純吟クラスの酒粕」を「鍋仕立て・・」にした時の旨味感は至極当然なのかもしれません。

 

もし・・・

酒蔵の蔵元を尋ねて「お茶受け」に「我が家の大吟醸酒粕で造った奈良漬けです」と「三切れほど」でも出して頂いたなら それは「最高の おもてなし」なのだと思って下さい。

たぶん・・

出品酒用の「大吟醸を搾った」酒がしっかりと残っている「軽い搾り」の酒粕に 違い無いですから・・。

 

漬け粕については・・・

またの機会にやりますね・・。

 

「酒米が足りない理由」

「酒米が足りないので、お酒が造れません」という状況が すでに始まっているというコワイ話し。
全然、他人事なんかじゃないんですけどね・・。

現実問題として・・・

一号仕込みまでに「原料米の数量確保」が出来なかった為に

・仕込み時期を遅らせる。

・欲しい量が足りなくても確保出来た分だけの「少量生産で一号仕込み」を間に合わせる。

・予定を変更して「古米での仕込み・ないしは掛米に使う」

これでも「新酒になります」違法行為・違法表示ではありません。

が、「新米・新酒」を以て「新酒となす・・」という心的了解事項がありますので

隠しはしませんが「一般には公示されにくい状況です」。

 

なんでこうなっちゃったかと言うと

まずは「東日本大震災」です。

日本の穀倉地帯が 言葉を恐れずに言えば「壊滅した訳ですから・・」。

食べる米が、そして「安全で安心な米の生産」が第一優先になった次第です。                   風評被害だ なんだとは言われても「自分達の食べる米だけは安全であろう地域から調達したい」ですからね。

 

そして以前から、飯米(炊くご飯用)と、酒米(蒸す 醸造用)ですと「飯米の方が生産者価格が良いのです」。

ですから経済原則で言うと「無くても困らない酒米の生産をして頂ける農家さんは皆無」でも致し方の無いトコロなのですが、そこは「農家さんの理解と心意気」で蔵元さんの要望に応えてきた訳です。                 「飯米が充足している・・」前提の常時ではね。

さらに・・・                                                今まで理解者であった「酒米生産者の年齢が上がって・・」「後継者がい無い」「生産打ち切り・・」        という「小規模生産者ほど・・」止める頻度が高い。それでも、それらの集合帯って貴重であったハズだったんですけどね。

今や・・・                                                 「より高品質の酒米を量的にも確保したい」の動きを早くから示して、有能な若手農業者が耕作する生産適地との「契約栽培を取り付けている蔵元」以外は 今後、益々 「高品質酒米の確保」が難しい状況となりそうです。

特に・・・JA頼みの蔵元さんは・・。

 

誰だって「養殖よりも天然モノを食べたいよね・・」ですから・・。

蔵元が酒造り以外の時期に蔵人さんを動員して「自社米生産・・」を唄っている「商品・蔵元」が「モノかたり」として表示しているトコもあります。

否定はしません。が、米造りは「農業のプロ」に作って頂いた方が・・。

「酒造りのプロ」に徹してナンボかと思います蔵元さんは・・。

そして・・酒米不足の延長上に「原料米の値上げ」。小売り価格の値上げも「その要素のひとつ」です。

 

当店に嫁いで来る酒の原料も多種多様。

信州産の代名詞である「ひとごこち・美山錦・金紋錦」は当然として「五百万石・愛燦々・備前雄町・愛山・八反錦」。そしに別格の王様「山田錦」など・・。

 

そんな中での取り組みが「飯米を使っての酒造り・・」という試み。

今まで無かった訳では無いけれど「今後も考えての新たな試験」というスタンツで 今期「トライアルシリーズ」として「飯山の北光正宗・村松専務」が「コシヒカリ・1801酵母・高温糖化・純米吟醸生」で打ち出して来た酒のサンプルが「飯米レベルを越えていた・・」ので極少量ながらも 頂きました。

彼の蔵は今期も「契約栽培米」で全量仕込みが出来て間に合っているのに「トライアル・・」という拍手もの。

試飲・購入を頂いた方からも「高い評価を頂く・・」カタチとなっております。

欲しい方は早めにどうぞ・・。

心意気を味わいたい方は・・。

北光正宗トライアル純米吟醸こしひかり

 

 

 

日本酒の会「猪口の会」を やってます。

日本酒に興味のある方、旨い肴で一杯呑りたい方・日本酒の仲間作りたい方・・が、集まります。特に女性の方で「仲間の飲み会にワタシ一人だけ日本酒を頼むと 飲み助に思われて肩身の狭い思いをする・・」の方が「お一人様でも気軽に安心して参加して頂ける環境」はワタシの目指すトコロです。

 

固い会にするつもりはありませんが「会場の料飲店さんに敬意を表し、料理と酒と会話の楽しむ節度のある会」としております。大酒飲み大会でも、無礼講大会でもありません。ご自分のペースで お楽しみ下さい。

特に転勤族さんには重宝して頂けてます。

日本酒に興味のある方は是非どうぞ・・。

 

では、本文です。

当店のコミュニケーション分野「毎月一回・河岸を変えての・日本酒のみの会」として「猪口の会」の名称で参加希望者を募り実行しています。

新酒の案内・蔵元の情報・業界内での話題・料理との飲み合わせ・質問等」など「食べる・飲む・対話」を中心とした会です。日本酒の会に有りがちなそうですが「ウンチクと専門用語の解説」は極力減らして、基本的には日本酒を通して「楽しみと繋がりを深めてもらう・・」を目的としております。

と、言うのは表向きの理由で 本当のトコロは「私の楽しみと得意先の宣伝」という バラさ無いでも良い事なんですが・・。

 

実は以前にも「別の名称で会」を立て上げていたのですが、一年間休会にし事実上の解散を経ての再スタートが今に至っております。以前の版は収益のある「金の成る木」であった事は間違い無いです。

40人前後の「私より若い世代が集まって」の「旨い日本酒を目当てに来る娘」を更に目当てとした「合コン」と最後は化していましたから・・。「合コンが悪い」なんて眠たい事はイイません。ただ「そちらが目当て」になった事で面倒な事が増えて「やっぱり本来の姿に戻したい」と思っただけの事です。

 

今でこそ「回数も重ねて」・「SNSでの認知度も増して」、会場と設営にも理解を示して頂ける料飲店さんも多くなりましたが、以前は「酒を持ち込みでの 日本酒の会」の意味合いを「安く飲ませる為の手法」と勘違いされて「断られる事も多い」のが実情でした。

こちらの説明も下手でしたし、得意先の「機嫌を損ねたら元も子もない」なんて「確固たる信念」を前面に出していない節もありましたし・・。

 

今月のツキイチ・・・

を「22日・火曜日」に飯田市内の中央通り「海蔵」さんで行いました。

最近では珍しい「ヒトケタ代の参加者」だったのですが、実は この人数が一番やり易いんです。

参加者全員の「顔と反応を見ながら、それぞれに合った説明がキチンとデキル」からです。

カウンター対応の居酒屋さんと同じ事です。

 

「初参加の方は皆無」であったのに「初対面通し・・」の方もいらして それでも「日本酒仲間として すぐに打ち解ける」に多くの時間は必要が無かったですが・・。

私もこういう時は「やるべき事はやった上で お客様と一緒に楽しんじゃいます」。

お酒以外の話し、質問も多種多様に渡って「酒販店としての意見」より「私個人としての感想」が主眼となりますが それは個人商店であり 実質「ワタシの主催」である事で許されていると勝手に思っています。

海蔵・猪口の会

酒器などは「持ち込み」で お願いするので「翌日の片付け」に伺うと「海蔵の大将」からは「みなさん ホントに楽しまれていてウラヤマシイ・・」という言葉を頂きました。お誉めの言葉として受け取らせて頂きましたが 毎回そうは成らないのが現実です。

参加者が「多い・少ない」の話しじゃ無くて。

滅多に撮らない集合写真こそが その証しかもしれませんが・・。

来月は「栃木・澤姫・井上社長を招いての会」を 「5月14日水曜日に(花れ)」にて行います。

この会の案内と「猪口の会」の細部については追々と・・。

 

 

 

入りにくい店の様です

目的買いで来店の方は あまり気にされない様ですが、「ふらりの来店」の方に取って当店の店構えは 「とても敷居が高い」と言う声を頂戴します。

「木樽を貴重とした造り」と「藍染めの暖簾」に「暗がりの店内」だけで「取ってに掛けた手にチカラが入らない・・」だそうですが 勇気を持って「ガラガラ・・」しちゃって下さい。

違う世界が表れますので・・。

 

店舗外観

 

当然「意味があります・・」。

日本酒の品質劣化の主要因である「温度管理と日光対策」です。店内を冷蔵庫にして「完全に囲ってしまう」事が出来れば何の問題も無いのですがリニューアル時の「スペース・資金」に限度がありますから現状では「これが精一杯の設備投資」です。

外壁に「断熱材を詰めて」夏場はエアコンで店内を冷却して、外光が入る「明かり窓」は最小限にし 品質的に害が有るとされる蛍光灯を使わずに・・。よって「薄暗い店内」とも取られがちですが 光量は充分あります。

改築以前は「夏場に酒を安全な場所に逃がしていた」のですが その手間からも解放されました。

当店は「味噌屋の顔」も持ってますが 店内で夏場を越した味噌が あまり変色しない事で より自信を深めています。

 

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生酒はすべて「店内冷蔵庫で管理」しています。

って、偉そうに書いても これは地酒屋にとっては最低限度の設備投資です。

つまり「あ・た・り・ま・え」と言うヤツです。

同業者・蔵元さん・なにより当店が一番の客層として願う「旨い地酒を求める方に 目で見ても説得力のある設備で、対話と提案がデキル環境」を敷く事で 「この業界でのスタートラインに立てた」と思っています。

最終的には「来店して欲しい・・」という導線上に・・。

 

それでも・・・

「入りにくい・・」という声は ご近所さんを中心に お聞きしますが「お付き合いと商いは別物」のスタンツで お願いしております。別に「近所はイイ・・」では無く、狙うべき客層とは限らないという「生意気なヤツ」です・・。

どんな顔で・どんな酒を・どうオススメして来るのか ?

そんな興味本位での来店動機で充分です。

欲しい酒・知りたい事・解らない事・・を、解り易く対話するを心掛けています。

別に「先生と呼ばれたい訳じゃ無い」ですから・・。

 

 

飲み頃・常に試してます。

長野県の南端・飯田市で「信州の地酒を看板」に家族で酒販店を営んでいる信州旨酒 加藤商店です。

酒屋一代目はアマノジャクから お越しの方はコチラが継続ブログとなりますので 宜しくお願いします。

当面は酒販面を中心にお届けするつもり・・ですが「いつ脱線するかは見てのオタノシミ・・」です。

私は説明が下手なので 時に長い文章となる場合もありますが「太字を中心」に読んで頂ければ短時間ですみます。

たぶん、そういう読み方はオモシロく無いとは思いますが・・。

 

地酒・・を前面に押し立てての業務ですので「料飲店さん」との お付き合いも多いです。

その中で最近、多くの質問を頂くのは「この酒は どのくらいの期間のウチに売り切ったら良いですか ?」です。

つまり「飲み頃をハズさずに 美味しい時期に提供したい」の店主さん・担当者さんばかりです。

さもありなん・・なのは都市部とは違って「田舎では一升瓶を一日で売り切る」なんて 有り得ない事が解っているからです。

 

有名ブランドであっても「繊細な酒は長期間は持たない」事が体験的に料飲店の中で認識されてきたからです。「味が抜けている・異臭がする・不味い」というクレームが「その場で お客様に言って頂ける店」は まだシアワセです。

「マイナスのクチコミ」が一人歩きしたり、当店にお越しの お客様からも「○○へ行って○○を飲んだけど味抜けをして旨く無かった・・」なんて話しが 普通に出て来ます。

「ウチの酒が そんな事でイメージダウンになるのはガマン出来ない・・」と、蔵元 自ら料飲店さんの「講習活動」を始めるトコも出てきました。

「数はチカラだ・・」的に 業界紙に載っている「都市部の居酒屋」並みに10種類程の日本酒が開栓状態である事は少なくなってきました。お客様が常に「未開栓の状態」の酒を開けたがるのも人情としては解りますが それをどう回転させるかが「飲み頃」との兼ね合いになりますし、当店では「3種類回転」を提唱しております。

 

おおざっぱな結論から言わせて頂くと・・・

当店で納めている日本酒は「二週間以内に売り切る」を お願いしております。

あまりに「繊細過ぎる酒・生臭的な酒・開栓三日程でヘタレてしまう酒」などは薦めません。

逆に「開栓したてよりも五日程経って角が取れ旨味が膨らむタイプ」が私は好きですしお薦めです。

 

どこで判断するか・・・

蔵元さんの案内にもよりますが 余程の稀少品でも無い限り「販売前に試飲確認」します。そこで「自分なりの判断をして・家族に伝え・お客様に お伝えします」。

それだけでは不充分なので「試飲酒を二日単位で試飲」していきます。

変化の度合いのオモシロさと「飲み頃としての許容が自分の最初の判断と合っていたのか」の検証です。

それだけでは「仕事としてだけでオモシロく無い」ので「その日の酒肴と一緒に合わせて」いきます。

合いそうな物・合いそうで無い物・もアタマの中だけで無く「実際に合わせ試す」事で経験として「お伝えする材料」とさせてもらいます。

ベツバンとエノキ天ぷら

今回の・・

大信州 純米吟醸 別囲い番外品(通称ベツバン)は、先月の「猪口の会」に開栓したものを そのまま引っ張ってみました。実際「ドコまで持つのだろうか ?」と。

この酒の特徴である「旨味・キレ・心地良い苦み感」の開栓直後の感想から 三週間経って「より旨味が膨らんで・余韻の軽い苦み感が引き立つ」ヅケマグロにピッタリでした。

一般的な感想を引き出すには「父の感想も重要ですので・・」。

「やっ、コレはぅ旨いなぁー・・」と。

トドメの一杯は こうしてキレイに消えていきました。